sakae誕生ものがたり

sakaeの誕生ものがたり


sakaeとは祖母の名前です。サカエおばあちゃん。


私の祖母は盲ろう者。

30代で視力がだんだんと衰えていき
私が小学校を卒業するころには
私の顔は見えていませんでした。

外で働けなくなったけど
簡単な内職をし、家事をこなし
家族を支えていました。

現在83歳。
祖母の視界は閉ざされ
耳もほぼ聞こえなくなりました。



時は2016年7月
祖母と二人きり、真夏のリビング


祖母の口から

「私の人生は、ゴミみたい。
もう廃棄物と同じやわ。
どうして生まれてきたのだろう。」

という言葉が。 


私は驚き、言葉に詰まりながらも
どうしてそんなコトを言うの?
と聞くと

「目も見えん、耳も聞こえん、
子供も十分に育てられず、稼ぎもない。
世の中の為に何一つ十分に出来ない
お荷物おばあちゃんや。
だからいつでもスクラップにしてもらってもいい。」

と。


その言葉を聞いて
私は哀しさよりも怒りが勝り
気づいたら怒鳴り散らしていました。


「その言葉、母の前で絶対に口にしないで!
一番悲しむのは、おばあちゃんでも、私でもない。
私の母親、あなたの娘よ。
あなたがいたから、
母が生まれ

あなたが頑張ったから、
私まで命が繋がっているの!

絶対そんなこと口にしないで!」


祖母は、
微かに聞こえる右耳を
こちらに向けて
必死に私の声を聞いていました。

私はもっと怒鳴り散らしていましたが
何を言っていたのか覚えていません。
祖母もどこまで聞こえたのかはわかりません。

どこを向いても見えていない
白濁した目を
何かを必死に探すように動かし

祖母は
静かに静かに泣きました。

2人きりの真昼のリビング。

窓の外は夏の日差しで輝き
開け放たれたベランダから風がそよぐ7月。

額から頰を伝う汗。
もう汗だか涙か鼻水か。
ぐちゃぐちゃになった顔を二人してタオルで拭った夏。


その情景は
今でも鮮明に覚えています。




この祖母が
人生を終える時

「あぁ生きていて良かった。
命を繋いで良かった。」
そう思ってもらう何かをしよう!

そして
祖母のような人を減らしたい

盲ろうでも関係なく自分に自信をもって生きてほしい

目には見えないバリアを壊し

良いも悪いもひっくるめて

お互いの存在が大切で、愛おしくて

助け合える、優しい世界を創りたい。

と強く強く心に誓う日となったのです。


これがsakaeの誕生ものがたり。









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